ワープじじい

【七誌さんからの直接投稿エピソード】

自分も時空のおっさんらしき人と遭遇したことがあります。
小学生の時なのですが、同じ体験をしている奴がもう一人いるので
多分夢とかじゃないと思います。自分の時は通学中の朝でした。

いつも一緒に学校に行っている友達3人と通学路を登校していました。
仮にAとBとします。歩きながらAと話していたら、突然、少し後ろにいたBが
「なんか変なの」と言いました。Bの指す進行方向には通勤している大人や、
同じように登校している子供たちが居ました。それだけだと普通なんですが、
その時全部止まってるように見えました。みんな。
「あれ?」と不思議に思っていると、隣にいたAも「おい、おかしいぞ」と
言いだしました。それに、人の色がなんかくすんでいておかしいし、
見える映像というか物が全体的に赤色がかかっていてぼやっとしていました。

異変に気づき3人とも歩くのをやめました。しばらく皆黙っていたと思います。
自分はどうしてよいか分からず、固まった状態でしたが、多分他の2人も
そうだったんだろうと思います。
その内、Bが「どうしよ。どうしよ」と言い出し、それをきっかけに
自分とAも不安な気持ちを口にしはじめました。
その後3人のうちの誰かが「仕方ないから学校に行こう」と言い、
進もうとした時です。目の前に町内でたまに見かけるおじいちゃんが
こちらを見て立っていました。突然だったので3人ともびっくりしました。
気が動転していたからなんだろうと思いますが、Bが突然「ごめんなさい」
と言ったので、つられて自分たちも「ごめんなさい」と言いました。

おじいちゃんは何も言わず小さく何度もうなずいていました。
顔を見合わせていると突然おじいちゃんが消え、学校の階段の
踊り場に居ました。条件反射のように急いで教室に向かいました。
教室につくと、教室にいる生徒の数は数えるほど。
給食が終わって昼休みの時間でした。昼休みなのにランドセルを背負って
いるのを見て、うるさい女子がからかってきたのをしっかり覚えています。
あと、教室についてから気づいたんですが、一緒にいたBがついてきて
いませんでした。それから、自分の席と後ろにある棚の位置が変わっていました。
少し落ち着いてから、Aと一体何が起こったんだろうと話しながら、一緒にいた
Bを探しに行きました。先についたのなら、どこかで遊んでいるはずなので、
心当たりの場所を2人で探しました。でも、Bの姿は見当たりませんでした。

放課後、Aと家に帰りながら今日起こったことの整理をしていました。
今の時点で分かっていることは2つ。

1 ワープじじいのせいで変なことが起こった。
2 友達のBが元からクラスにいないことになっている。

いくら考えてもきちんとした答えは出ずじまいでした。
この後、この一件を親に話しますが、親に言っても一緒に学校に行っているのは
Aくんだけだという返事。Aの親も同じような返事だったそうです。

クラスメートにも何度もBの事を聞いても誰も覚えていません。
最後にはこういう話をクラスメートにしているということで先生の耳に入り、
「バカな話しているんじゃない」と絞られることになり、Aと相談の上、
これ以上学校では追求しなくなりました。
進展したのはAがおじいちゃんのことをワープじじいと名付けたくらいです。

このワープじじいについても親に聞いたところ、ご近所のお宅のおじいちゃんで
少し痴呆が入ってるからちゃんとあいさつしてあんまり余計なことは
しないようにと軽く叱られました。
その後も町内で何度かあの時のおじいちゃんを見かけましたが、確かに痴呆が
入ってるっぽくて、あの時のワープじじいなのか自信がなくなってきました。

不思議なことだらけだったんですが、これ以上はどうしようもないので
Aと相談の上、この話は何か新しいことがわかるまで2人だけの胸に
しまっておこうということになりました。


2人とも同じ中学に上がりクラスが別々になりましたが、Aとは相変わらず
一緒に通学していました。たまにBの話になったりしましたが、
あれ以来何も進展なしでした。

夏休みが終わり、始業式が終わって部活を終え帰宅しようとしたところ、
珍しくAが待っていました。
Bと。あの消えたBとです。私はびっくりしました。
Aは自分に説明してきました。

Bは今日Aのクラスに転入して来た。あまりにもBにそっくりで
Aもびっくりしたが、向こうもこちらを見てびっくりした様子だったので、
それとなく話をしてみたところ、やっぱりワープじじいに遭遇していた。
ただ、こちらの話と違っていたのはBの場合、消えたのは
Aと自分の方だったらしい。同じく小学校の頃。
Bが以前に住んでいたところは他県で自分もAも行ったことすらないところ。
Aと自分が消えたのはそこでだそうです。
それに、Bが遭遇したワープじじいは厳密にはじじいではなく、
普通の格好をしたおじさんだったとか。

今でもAとBとはメールをするくらいですが連絡を取り合う仲です。
変な体験を共有したことが仲間意識を強めたのかもしれませんね。
実家に帰った時に、時間があえば3人で集まって飲みにいったりしますが
この話になると、大人になった今でも納得のいく説明がでません。

たまに、自分たちが知っていたBと今のBが同じなのかだとか、
Bがワープじじいにあった時にいた自分とAは自分たちだったのか
などと考えますが、頭がこんがらがってきます。

小学校の同窓会に行った際、あの時ランドセルを背負っていた
Aと自分のことを覚えている奴がいたのでやはり夢じゃないと思います。

ワープじじいが時空のおっさんだったのでしょうか。
いまだに3人の間で解けないままの謎の体験です。

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