- 去年のお盆に父の実家に家族全員で行った。
私の父の実家に行くのは10年ぶりで久しぶりに会った叔父や従兄弟達は喜んでくれて昔の話で盛り上がった。
暫くみんなで話していると、斜め向かいに座ってた従兄弟のK兄ちゃんの背後に黒いモヤモヤがずっとくっついている事に気がついた。
最初は煙草か何かの煙?とか思ったけど、K兄ちゃんが飲み物買ってくると立ち上がり部屋を出ていく時も帰ってきた時もずっと背後にぴったりくっついてた。
ハッキリと人の形とかではないんだけど…だんだん人かなって思ってきちゃって。
立ち上がったK兄ちゃんと同じくらいの背丈だった。
気になりつつ話をしてるとK兄ちゃんがコーヒー飲もうと缶を手にした。
その時、黒いモヤモヤからピンポン玉くらいの大きさの黒いモヤモヤがフッと1個分裂した。
- (続き)
その分裂した黒いモヤモヤはコーヒーを飲んでいるK兄ちゃんの口に入っていった。
その後もご飯を食べたり飲み物飲む時も分裂しては口に入っていってた。
怖くなって気にしないようにしてたけど黒いモヤモヤも私が自分の事見てるってわかってたみたいで表情なんてないのにずっとニヤニヤしてた気がする。
夕方帰る時に見送りしてくれた時も黒いモヤモヤはずっとK兄ちゃんの後ろにくっついてた。
帰りの車内で隣に座ってた妹が小声で「あたしね見ちゃったよ、K兄ちゃんの後ろに死神いたの」と真っ青な顔して言ってきた。
「死神ってあの黒いモヤモヤ?」と聞くと頷いていた。
怖かったけど確信ないしお盆休みが終わるとバイトが忙しかったので黒いモヤモヤの事は妹と私で黙っておこうという事に。
それから3週間経った9月、K兄ちゃんが急性心不全で亡くなった。
持病など無く本当に突発性だったらしい。
棺に入ったK兄ちゃんにもう黒いモヤモヤはついていなかった。
でも少し離れた物陰から黒いモヤモヤがニヤニヤしながらこちらを見てる気がして気持ち悪かった。
今年K兄ちゃんの新盆に行ってそんな話をしたらK兄ちゃんの弟がポツリと「死神って本物にいるんだなぁ…」って。
帰って来て落ち着いたので書きました。