- 去年の夏、合コンで知り合った男性と、
心霊スポットへ肝試しに行きました。
その男性の運転する車で、私と私の友人と
3人で行ったのですが、
目的地へ向かう途中、男性が唐突に
「このへんに小人の家があるから行ってみるか?」
と言ってきました。
私たちはそんな所聞いたこともなく、
最初は居酒屋か何かと思っていました。
しかし詳しく話を聞いてみると、
何でも実際に小人が暮らしている家があり、
知る人ぞ知るオカルトスポットになっているとのことでした。
興味を持った私たちは、彼にそこへ連れて行ってもらうことにしました。
- >>219続き
しばらくすると車は住宅街に入って行き、
酒屋の自販機の前に止まりました。
「このへんやから、こっからは歩いて行こか」
場所が場所だけに私たちは一瞬??となりましたが、
彼に従い車から降りました。
そして5分ほど歩いた所に、それはあったのです。
軒並み4軒の一軒家が並んでいたのですが、
奥から2番目の家だけが他の家の半分ほどしか高さがないのです。
横幅は同じくらいなのですが、
奥行きも恐らく1mくらいしかありませんでした。
- >>220続き
表札もなく、玄関のドアも1mくらいしかありません。
なのに庭は他の家と同じくらい広くて、
明らかにその家だけが異質で、浮いていました。
「今もここには小人の家族が住んでるらしいで」
彼の言うとおり、2階の窓には明かりがついていました。
ニヤニヤしている彼を横目に、
私たちはあまりの不気味さで顔が引きつっていました。
何かのモニュメントか何かとも思ったのですが、
それにしては精巧に出来過ぎていて、
しかも作り物では出せない生活感に溢れていました。
私たちは気分が悪くなり、目的の心霊スポットへは行かず、
その日はそのまま帰宅しました。
- >>221続き
それからもうその日のことは忘れてしまい、
というか、何だか禍々しくて意識的に記憶から消してしまい、
その日限り彼とも連絡は取っていませんでした。
しかしあれから1年経った先月、
ちょうどあの時の友達と久しぶりに一緒に遊ぶことになり、
必然的に小人の家の話になりました。
私たちは何となくもう一度その存在を確かめてみたくなり、
二人で、今度は昼間一緒に見に行くことにしました。
薄れた記憶を頼りにそこへ向かい、
何とかあのとき車を停めた酒屋を発見すふことができました。
店名も珍しかったので記憶に残っており、
あの時の酒屋に間違いありませんでした。
しかし、そこからあの日のとおりに道を進んでも、
いっこうに小人の家が見つからないのです。
どこも普通の一軒家が並ぶだけで、
1時間ほど近辺を探し回っても結局見つかりませんでした。
だんだん日も暮れてきたので怖くなり、
その日は残念ながら帰ることにしました。
- >>222
しかしやはり小人の家が気になって、
地元の友達や知り合いに聞き込んだのですが、
誰1人として知っている人はいませんでした。
あの時の男性にコンタクトを取ろうともしましたが、
連絡先も分かりませんし、
色々な伝を頼りましたが結局辿り着くことはできませんでした。
結局今はきっと取り壊されたのだろうと、
無理やり2人で納得しています。
オチはないのですが、それにしても不気味というか不可解というか、
モヤモヤはいまだに残っています。