- 自分が小学校三年生の時のでいまから23年も前のことです。
クラスの担任が不思議な能力の持ち主だった。
女の先生で歳はおそらく30歳前後だったと思う。
先生が授業中に生徒の方に背を向けて板書してる時とかってよく目を盗ん色々イタズラしなかった?
友達同士で手紙まわしたり、何か物を投げたり、一瞬立ち上がって歩いたりetc…
でもね、その先生完全にこちらに背を向けているのに生徒がそういうイタズラしてるのを見抜くんだよね。それもかなり的確に。
「○○、消しゴム投げるな!」とか「○○と○○、手紙回すんじゃない!」とか「○○、勝手に歩くな!」とか、
そういうことをこちらに背を向けた状態で言い当てるのよ。
そんな先生他にいなかったからみんな不思議がってさ、ある日授業中に一人が、
「先生、なんでこっち見てないのに何やってるかわかるの?」って聞いたわけ。そしたらさ「大人になったらね、神様がそういう能力を授けてくれるの。頭の後ろに目があるみたいに何やってるか見えるの」
とキッパリ言った。もちろん子供とは言えそんなこと信用するわけない。
それで少し反抗心の強いやつが、
「じゃあ先生、目をつむって後ろ向いて」と言い始めた。
先生は言われた通り後ろ目をつむって後ろ、つまり黒板の方を向いた。
で、そいつが両腕をぐるぐる回して「いま僕何してる?」と聞いたんだけど、
先生は「両腕をぐるぐる回してる」とあっさり言い当てた。
教室がざわめいたよ。
つづく
- 俺は角度的に先生の横顔が見える位置にいたんだけど先生の目は確かにしっかりつむっていた。
仮に目が開いてたとしても、目の前は大きな黒板で、物を映すような鏡のようなものはまったくない。言っておくけどその先生眼鏡とかもかけてなかったからな。
でも何人かの生徒は「先生、目開けてるでしょ?」と疑った。
先生は「そんなことしてない」と言うので、「じゃあ前に行って確かめていい?」と言うと「ええ、いいですよ」と余裕たっぷりに答えた。
それで確か三人くらいが先生の前に回って、ジッと先生の顔を監視した状態になって、
「じゃあもう一度やるよ」とさっき両腕を回したやつが今度は右腕を上げて手でチョキの形を作った。
そしたら先生はこれもすぐに「右腕を上に挙げてチョキにしてる」と言い当てた。
前で確認してた連中は「目つむってる!」とみんな驚いてたな。教室がまたどよめいた。
「じゃあこれは?」と今度は他のやつが両腕を×にしたら、
それもあっさり「両腕を×印にしてるね」とやっぱり簡単に当てた。
教室中、動揺するほど驚いてたよ。俺も本当に驚いたからこの出来事はよく覚えてる。
で、他の連中が「じゃあこれは?」とか「僕は何やってるかわかる?」と次々言い始めてなんか収集つかなくなってきたから、
先生もウンザリしたように「ハイハイ、そこまで。これでわかったでしょ?授業続けるよ」と皆を落ち着かせて前に来ていた連中も席に戻らせて授業に戻った。
でもみんな不可解な顔で納得できてなかったな。
この不思議な出来事の話はこのクラスだけじゃなくて学年中に広がって
「あの先生は超能力者だ」とかもっぱら噂になった。
俺は純粋というかアホだったので先生が言った「大人になったら神様がそういう能力を授けてくれる」というのを信じてしまった。
つづく
- でもそれから確か1ヶ月もしないうちにその先生学校を突然辞めたんだよ。
小学校の担任が途中でいきなり辞めるって珍しいだろ?
しかも次の先生が来るまで代わりに担任になったのがなんと教頭先生だよ。
先生が突然辞めたのも驚いたが、教頭先生が授業やるってのもまた驚いたからこれもよく覚えてるんだよな。
みんなどうして先生が何も言わず辞めたか聞いたけど、「家庭の事情なんだよ」とか言われるくらいで結局はっきりしたことはわからなかった。
確か夏休み明けに新しい担任が来たな。
小学三年の頃の記憶はこれ以外のことはあまり覚えてない。
この出来事の前後のことも覚えてないけど、その不思議な先生についての情報はまったくなかったはず。
で、現在、俺もその先生と同じくらいの歳になったが、「背中で物を見る能力」なんか当然授かってません…
あの先生は一体なんだったのか、仮にあの不思議な能力にトリックがあったのだとしてもそれを知りたいなあ。
- 長文、乱文、失礼しました。