小学生のころの話。恐怖系とかそういうのじゃないんだけど…
所謂学級費みたいなものだと思うんだけど、月に1回程度学校で配布された専用封筒(生徒の名前が記名されている)にお金を入れて学校に持っていく日があった。教室にそれを回収するためのポストみたいなのが設置されていて、そこに投函するシステムだった。
その学級費を持っていく日の事。登校し、教室に入ると、私はカバンから学級費の封筒を出し投函した。この時点で親から受け取ったままの状態。封筒を開けたりしてはいない。
その後朝礼が終わり、掃除の時間となる。その間に担任がポストを開けて、いつものように封筒を回収し確認をはじめた。恐らく、きちんと指定された金額が入っているかどうかを確かめていたのだと思う。
掃除の最中のことだった。
「おいN!」
担任が、クラスメートの一人Nの名を呼んだ。何事かと静まり返る教室内。呼ばれたNは駆け足で担任のところに向かう。他の生徒も担任の周りに何となしに集まる。
「おい、封筒がからっぽなんだけど、きちんとお金入れてもってきたのか?」
「はい」
どうやらNの封筒の中は空っぽだったらしく、その確認に呼ばれたらしい。
困惑する表情のNと怪訝な顔でどうしたものかと思案する担任。そのうちNはしくしく泣き出した。ちなみにNはどちらかというと優秀でおとなしいタイプの生徒。嘘をついているようには思えなかった。
「まあ待ってなさい。全部確認するから」
他の封筒を確認する旨告げて、一つ一つ確かめていく担任。
確認作業を進めていくうち、ある封筒を開けて確認を行っていたところ、手が止まった。
「ん?!」
ここで、担任の表情が変わった。と同時に、今度は私が担任に呼ばれた。
「おいA!ちょっといいか?」
「なんですか?」
「お前、親御さんはちょうど入れたんだよな?」
「はい、たぶん」
いつも、ちょうど入れていたし(おつりをもらったことはなかった)、今回もそうだろうと思いそう答えた。
「んーー」
おもむろに封筒の中身を取り出す担任。
手には千円札が8枚。学級費は4000円なのでちょうど2倍の額になる。
そのまま確認を続ける担任。他の生徒ものは全てちょうど入っていることがわかり、
結局、私の封筒にNの学級費が紛れてしまったのだろうということになった。
ただ、不思議なのは、ポストのカギは担任が持っていて開けられないし、開けられたとしても、ポストをいじっている奴がいれば、教室に沢山生徒がいたはずだから気づくはずなんだよね。何せ教室の前の方の目立つところに設置されていたから。
ポストに入れただけの封筒の中身をどうやってお札が移動するんだろう。子供ながらに不可解だった。いまだになぞは解けていない。