よく考えるとちょっとあれ誰だったんだろうっていう話。
小さいころ幼稚園に通っていて、遊ぶときは大抵幼稚園に
通っている友達何人かと遊んでいた。いつも仲のいい友達
7~8人くらい集まって何かやっていたんだけど、
その中に”こめつきくん”という男の子がいた。
ちょっと皆より体格が良くて、太っている男の子。
いつもにこにこしてて、感じのいい子だった。
で、そのこめつきくんだけ俺たちが通っていた幼稚園の子
じゃなかった。もしかすると近所のお宅の子だったのかも。
でも不思議なのはいつもいたんだよね。いつの間にかどこから
ともなく現れて気づくと一緒に遊んでいた。子供のころは
遊ぶのに夢中でそんなことどうでも良かったんだと思うけど、
今考えると気付いたらもうこめつきくんが居て一緒に遊んで
いたんだよね。来てた時に気づかなかったとか考えられるけど
絶対にそれはない。仲間が来たらみんなで「xxが来たぞ」
「おー」みたいな感じであいさつし合ってたし。
ある日、ちょっと天気が悪い日だったんだけど、雨合羽を着て
みんなで川を見に行こうということになった。小さいころに
やりがちなやつねw
その日もいつものようにこめつきくんが居た。最初はいつも
通りこめつきくんはついてきていたんだけど、川が目前って
ところで急に「うわーー」って叫びだして、先頭に躍り出てきた。
それまでそういうことなかったので仲間全員こめつきくんの
変わりようにびっくりして止まった。
どうしたの?とか聞くんだけど、こめつきくんはうなり声
みたいなのを上げるだけで、皆の前に立ちはだかったまま。
誰かが「こめつきくん、行かないんなら俺たちいくね」みたいな
ことを言うと、こめつきくんは「うーー」と叫びながら
すごい形相で自分の自転車をどーんと倒す感じで頬り投げた。
あまりの形相と突然のことにびっくりした俺らは
そのまま逃げ帰った。
その時はこんなこと考えなかったんだけど、そのおかげで結果的に
命拾いしたんだよね。というのもその日一部決壊するくらい川が
増水して、ほかの地域では死者がでるくらいの感じだったらしい。
親に川に行こうとしたのがばれてこっぴどく叱られたのも覚えているし。
でも、その日以来こめつきくんと遊ぶことはなくなった。俺らが
仲間はずれにしたとかじゃなくて、こめつきくんが来なくなった。
よく考えるとどこの子かも知らないし、まともにしゃべったことも
あまりなかったような気がする。
あのあと川で事故にあったという可能性も考えたけど、近所の川
だから何かあったら子供たちは気を付けるようにみたいな連絡が
まわってくるだろうし、近所で噂になるはずなんだけど、そういう
話は一切聞かなかった。警察が来てどうのこうのなんてことも
なかったらしいし。
自分の記憶が曖昧になって勝手に補完するなんてこともあるみたい
だから、大人になって田舎に帰った時に幼稚園から付き合いのある奴が
集まった時にこめつきくんの話をしてみたことがあるんだけど
その時のメンバー全員こめつきくんのことを覚えてた。
ただ、こめつきくんが来なくなった時の話は微妙に違ってて
俺と同じように川に行こうとした時から会えなくなったっていうのと
隣町に子供だけで自転車で行こうとした時止められてそれ以降っていう
2パターン。
座敷童みたいな話もあるのでこめつきくんもそういうのの仲間なのかな
とも思ったりしたんだけど、そういう言い伝えがある地域でもないし
どちらかといえば河童とかそういう伝説が残っている地域だし
こめつきくんはどう見ても河童には見えない。
自分的には不可解な話なんですが、書いてみるとそうでもないですね。
すみませんw