- 面白い話ではないけど…
二度と行けなかった場所の話
出身は地方の田舎で大学が大阪だったんだけど、
大学紹介の下宿が凄いボロだったんで、電車通学になってもいいやと三年に上がる春に自分で探した部屋へ引っ越しをした。
春休みで暇だし、引っ越して数日後に自転車で近所を散策した。
家から5分くらい走ったあたりで、家が密集している住宅街の真ん中に、満開の桜の木が沢山ある公園を見つけた。墳墓みたいに森を背負っていて、その森の木が全部桜みたいな場所。ソメイヨシノじゃなくて、八重桜の群だったと思う。
凄い綺麗だったからその公園に入っていきたかったけど、地面が全て芝生?の緑で覆われてたから、そこに自転車を引いて入るのは駄目な気がして…
また今度歩いて来ようかなと、暫く眺めた後に公園には入らず帰った。
- お花見をしているんだろう家族連れらしき人たちが大勢居たし、普通の公園だとしか思わなかった。
友達に「家の近くに凄くいい公園見つけた」と話したりしてたし。
結局桜が咲いてる期間は履修登録とかで学校が忙しくてその公園に行く暇がなくて、6月くらいになってから、友達とお弁当を作ってその公園へ行こうという話になった。
家から近いしすぐ着くと思ったのに、幾ら歩き回っても公園は見つからなかった。
その時は歩きだからかな、とか、桜が咲いてない時期だからわかんないのかも、と思って諦めた。
でもその後、に家の近所の地図を見てみたら、公園なんてなかった。公園じゃなくて雑木林や墳墓とかかと思ったけど、そういう緑のある場所のマークも、近所には一切なかった。
単に地図に載ってない場所なのかとも思ったけど。
でも、それからあの部屋から引っ越すまで何年も何回も、桜の季節にも探したけど、結局あの公園には二度と行けなかった。
確かに、一度は行ったのに。
あの公園って何だったんだろう。