近寄られる男性

649 :本当にあった怖い名無し[sage]:2009/06/04(木) 01:16:32 ID:GMqUuXeS0
平日の午前中、都内の地下鉄に乗車していたときのことです。
車内はかなり空いていて。歯の抜けた櫛のように空席があり、
立っている乗客はオレを含めて3~4人ほど。

扉の横のスペースに立ってボーッとしていたところ、
とある駅を発車した瞬間、妙な違和感にとらわれました。

その原因は、オレと扉を挟んで1mほど前に立っている二人の男性でした。

ひとりは扉横の手すりを左手でつかんで扉と平行に立ち、
窓に顔を向けている推定年齢50代の男性です。この男性は
オレと同じ駅で乗り込んだので、よく覚えています。
8割がた白髪の短髪で、黒セル眼鏡に無精髭、黒のジャケットに
よく洗いこまれたジーンズ、スニーカーはおそらくリーボックの
ポンプフューリーと、かなり若めのコーディネートです。

この男性の背後に、直前の駅で乗り込んできたスーツ姿の
若いサラリーマンが立っていました。片手で器用に
英単語帳のようなものをくくり、片手は吊革を握っています。

で、違和感の原因。二人の距離感が極めて不自然なのです。
ものすごく、近い。不謹慎なたとえでいうと、
痴漢ってこういう距離でするんじゃないか、というような距離。
若いサラリーマンが痴漢役で、お洒落な50代男性が被害者役です。
もう少しで股間が触れますよ、という勢いなのです。
もしやマニア向け、男同士の痴漢ビデオの隠し撮りが行われているのか?
とすら考えて思わず車内を見回しましたけれど、もちろん
それらしい気配はありません。なにより、背後から近づかれている
50代男性が、その距離感を明らかに訝しがり始めたではありませんか。
650 :本当にあった怖い名無し[sage]:2009/06/04(木) 01:17:20 ID:GMqUuXeS0
でも幸いにして、ほどなく停車した駅で
若いサラリーマンは下車していきました。50代男性はホッとした様子…も
つかの間。こんどは大きなディパックを背負い、ニンテンドーDSに
夢中になっている若い男が乗り込んできて、また50代男性の
背後すれすれに立ったんですよね。

繰り返しますけど、車内はぜんぜん空いているんですよ?
何もそんなに近づく道理もありません。再び訝しがる50代男性。
今度はすぐさま咳払いなどして「近すぎるよ!」のアピールをして
いましたが、背後の男性の耳にはニンテンドーDSから伸びる
イヤホンが挿さっているせいで、思いは通じませんでした。
自分からどけばいいのに、とも思いますが、なんとなく「負け」を
認めてしまうようで嫌だったのかもしれません(その気持ち、わかります)。

オレは次の停車駅で下車しましたが、そのときもまだ距離は近いままでした。
たった数分で若い男を二人も引き寄せてしまった50代男性には、
なにか特別なオーラでもあったんでしょうかね。

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