- 懲りずにまた投下。
自分が中学一年生から二年生に掛けて、大学病院に入院してた時期があった。
そもそも入院の原因がおかしくて。突然ぶっ倒れて、気絶して目が覚めたら下半身が動かなく成ってた。本当に突然。
倒れた際に頭を打ったとか、元々持病持ちな訳でもなく。地元の病院に行ったら、これはこんな病院じゃ無理です、って大学病院に回されて。
病院に行ったら、教授とか明らか偉そうな人に囲まれて「これはおかしい」「不思議だ」「なんだこれ」ってまるで実験動物みたいな気分。
子供だった自分はそれだけでなによりも恐かったんだけど、まあ、そっから入院が決まって、不思議な体験を沢山する事に成った。
自分が罹ってた科は、脳内神経なんちゃらっていう小難しい名前のところで、じいちゃんばあちゃんが沢山居るところ。
中学生だし、入院なんてつまらないものだから、寝泊まりは小児科でする事に成ったんだ。
自分の部屋は6人用の大部屋。因みに、中学一年生の自分、4歳位の男の子、5歳位の女の子、小学五年生の女の子、生後数ヶ月の男の子の5人だった。
小児科だけあって、看護師さんや先生も気さくな人が多くて、長い事入院してる人達はまるで家族の様に仲良かった。
- 自分は同じ部屋の4歳の男の子(Kくん)を良く世話してて、Kくんのお母さんとも仲が良かった。
Kくんのお母さんは別の部屋のお母さんと仲が良くて、いつも一緒に居た。
そのお母さんは娘さん(Nちゃん)が産まれた時から入院してるらしく、もう9年もここに居ると言ってた。
Nちゃんの詳しい病名は知らないけど、個人部屋で家族以外面会謝絶だから会った事がなかった。大変だという事は知っていた。
KくんとNちゃんのお母さんは不思議な力が有る人で、自分と初めて会った時に、色々言い当ててた。
例えば小学三年生の時の事故の事とか、不思議な体験をした事とか。
結構、色々な体験をしてたんだけど、自分が入院して半月位だろうか。病室で晩飯を食ってる時だった。
みんなで談笑をしながら食ってたら、突然頭の中に一人の女の子のイメージが湧いた。
パン!って音が似合いそうな感じ。突然誰かを思い出すとかは珍しい事ではないと思うんだが、覚えのない子が自分の中で微笑むのは少し気味が悪くも思えた。
- なんだこれ、と思った直後だと思う。「お嬢(入院中の自分のあだ名w)、分かった?」って言われた。Kくんのお母さんに。
何の事を言われてるか分からなくて、黙ってた。そしたら、直ぐにKくんのお母さんは続けて、
「Nちゃんだよ」って。自分はもう?マークでいっぱい。
そしたら廊下が賑やかに成ってて。直ぐに別の部屋のお母さんがやって来て教えてくれた。Nちゃんが、亡くなった、と。
皆驚いてるのに、Kくんのお母さんは酷く落ち着いてた。Nちゃんのお母さんとあれだけ仲が良かったから、もっと驚いても良いのに、って思ったのを覚えてる。
それから、初めてNちゃんの部屋に入ったんだ。
綺麗な顔して眠るNちゃんは、さっき自分の頭の中で微笑んでた子と一緒だった。
Nちゃんのお母さんに似ていると言えば、似ている。でも自分はNちゃんの顔をそれまで知らなかった。
Nちゃんのお母さんは泣きながら、「Nちゃん、最後に逢いに行ったでしょう?」って言ってくれた。
Nちゃんのお母さんからNちゃんの話は聞いていたけど、会った事がなかった自分はそんなにNちゃんへ気持ちを向ける事をしてなかった。凄く後悔した。
何故か、涙が出た。会った事も、話した事もないのに。目を開けてるところすら、見た事なかったのに。
何が一番不思議って、Kくんのお母さんとNちゃんのお母さんだよね。長文失礼。