もう一つの影

892 :本当にあった怖い名無し[sage]:2010/11/02(火) 11:10:53 ID:5QOytboK0
2年ほど前の夏の話です。
明朝5時30分ぐらいに、私はマンションのエレベーターに乗りました。
1階のポストルームにある朝刊を取りに行くためです。
玄関のドアを開けると朝焼けがとても綺麗で、
廊下の奥にある小窓からは、淡い橙色の光が差し込んでいました。

朝早いという事もあって、流石にこの時間帯には誰もいません。
グオングオンというエレベーターが上ってくる機械の音だけが響いています。

その時ふと地面を見ると、私の影のほかに、もうひとつ別の影が伸びていることに気付きました。
誰か同じ階の人が部屋から出てきたのかな?そう思って後ろを振り返りました。

誰もいない。

しかし地面には、確実に私以外の人間の影があります。
まったく訳が分からなくなってしまって、私はさらに焦りながら周りを見渡したが、やはり誰もいませんでした。

何者かの『影』だけが、こちらにどんどん進んできます。
そして目の前まで来たそれは、私の影にいったん隠れて、またすぐに現れました。
そのまま廊下の奥の螺旋階段のほうまでズズズと移動していくのを、
呆然と見ているしかありませんでした。

気がつくと、エレベーターは他の階の誰かが呼んだようで、
私の階を通り越し、すでに動き出していました。

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