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72 本当にあった怖い名無し [] 2011/11/11(金) 03:55:06.22 ID:3KuhTos60 Be:
不可解な日常体験をした。

その日の日中
私は具合が悪くて独りで自宅で寝ていた。

自宅は庭付きの日本家屋。

そこに呼び鈴を鳴らし
声が聞こえた。

声の感じは初老の男性といったところだろうか。

六十代後半だろうか。

申し訳無いと思いつつ
体が重く
また急用の降り掛かりそうな身の上ではとてもなかった為
だんまりを決め込んでいた。

すると
まさかなことに
お邪魔しますと北塀の木戸が開き
家屋の東へ立ち入って来る音がした。
73 本当にあった怖い名無し [] 2011/11/11(金) 03:59:05.67 ID:3KuhTos60 Be:
寝室は庭へ面した南側。

昼間なのでレースのカーテンを引いてあるだけの不安な状況の中
足音が東から東南へ侵入して来る。

足音は東南の日除けに置いてあったコンポストの前に立ちどまり
蓋を開け
中の腐葉土を確認している・・。

さてこの後・・・

息を呑む瞬間だった。

不意に
カラスの一群が東南へ集り
大音声が緊迫の空気をつんざいた。
74 本当にあった怖い名無し [] 2011/11/11(金) 04:00:30.50 ID:3KuhTos60 Be:
なぜか騒乱している。

騒乱は不自然なほど長く続いた。

近所迷惑なのではないか。

長屋に独りで暮らして八年になる。

八年の間
類似の騒音は一度として聞いていない。

やがて
静々と立ち去る足音を私は聞いたのか
それとも聞こえなかったのか
とにかくもその頃合い
漸次カラスの音は止んだ。
75 本当にあった怖い名無し [] 2011/11/11(金) 04:02:54.03 ID:3KuhTos60 Be:
辺りには事前とむしろ不釣り合いな静寂が再び。

またもまさか・・・。

最悪の予感を去来させながら重い体を杖で支え
庭の東面へと赴いた。

いつもと変わらないコンポスト。

蓋を取って覗いた中にはやはり
いつもと変わらない腐葉土がそのままあった。
76 本当にあった怖い名無し [] 2011/11/11(金) 04:04:15.37 ID:3KuhTos60 Be:
数日して一つ近所に
いつもと変わったことがあるのに気が付いた。

長く見知った年輩者が一人
近所から消えたという。

うら悲しい出来事だ。

人は終局へ際し
どこへ行き
何が一体どうなるのだろう。

そんな造化
生滅の真理に関し
何か想いを馳せさせる数日だった。

長屋の先代から親しかった
よく椿を塀外から採っていた年輩の人は
今ももうお見かけすることが無い。

いつか誰でも解るのかも知れない。

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