祖母の皿時計

550 :本当にあった怖い名無し[sage]:2010/01/13(水) 11:36:16 ID:I0Xzh48L0
自分もひとついいかな。
小学生の頃、母方のばーちゃんが春の彼岸に他界した。
最後に見舞いに行った孫は自分だったそうだ。

子供も孫も多く、風邪をこじらせた直後はひっきりなしの見舞いだったが
大人たちの世話も交代制になり、小さな頃から子守をして一番可愛がっていた近所の孫もそう毎日は来ないようで、なんとなく不憫に思え、学校帰りにおっかなびっくり1人で訪ねたのだった。

何か欲しいものはないかと声をかけると「お水を一杯」。
自分には摘んできた雑草と汲みたての水を運ぶくらいしかできずにしょんぼり帰ってきたが、これが死に水になったと後で言われた。

祖母は洋裁教室を開いて食べていたが、祖父は母が学生の時分にお針子さんと駆け落ちしてしまっていた。

一度、祖母の家にいとこと遊びに行った際に、古い写真を見ながら祖父が離れている理由について他意なく聞いてしまったことがあった。

「そんなの知らないわよ!」
一瞬、普段穏やかな祖母の表情が般若のように変わり、しゃべり方まで違っていた。魂萌えっていうのかな、「女」のしゃべり方になったのでいとこも私も怖くなってしまったことがあった。
普段控えめで腰の低い祖母の、後にも先にもそんな声は自分が知る限り、ただ一度のことだった。

葬儀後、祖母の持ち物が整理され、なんのことはない、誰かの結婚式の引出物かと思われる皿時計を母が持って帰ってきた。

居間に飾られたそれはちっとも時間が合わず、ただ飾られているだけだったのだが、
ある日、昼食の時に母がおかしなことを言った。
「この時計、お彼岸の頃になると音が大きくなるのよね」
父が「また馬鹿なことを言って…」とちゃかしたが、私が「これすごいよね、電池入ってないのに動いてるんだよ。」

途端びびった両親にそんな今更…と思いながら「嘘じゃないよ。ほら」と
高い位置に飾られた皿時計を外して見せたところ顔面蒼白。

時間が狂っていたため、電池を換えようと外したら動いている。
新しい電池に換えても時間がずれてしまうから、そのまま外しておいた旨を説明したらなぜか私が気持ち悪がられる始末。自分も今思えばびびりますが。
長文すまない。つづく。

551 :本当にあった怖い名無し[sage]:2010/01/13(水) 11:38:40 ID:I0Xzh48L0
>>549
ごめん投稿タイミングかぶっちゃった。流れぶったぎってすまない。

550の続き↓
「いつ外したの? さっきまで入れてたんじゃないの」というので「三年くらい前かな? うるさくなったり静かになったりがひどい時があったんで気になって開けてみた。今よりもっと子供だったし、言っても信じなかったから」と言うと絶句。

夕方きた叔母もワケを聞いて蒼白しつつ、最期に死に水を取ってあげたご利益かもねぇと。
「確か三回忌か何かで祖父が来た時もすごい音を発てていたものね」と。

この針の音っていうのが決して穏やかではなく、時々イラっとカッチカッチカッチカッチと忙しなく、叩きつけるような音で鳴る。悪くいえば神経に障るような音だった。そうかと思うと動いてはいるがほとんど音がしないくらいになったりする。
子供心に実験してみると、こちらの質問にyes noで応えるようなものでもなかった。

もちろんボタン電池などもはいっていない、シンプルな作りで誰も原因がわからず。

学校から帰って、明日は理科系の先生に調べてもらおうかと思って見ると無い。
なんと、恐れを知らない父が「気持ち悪い」とばらばらに分解してゴミに捨ててしまった後だった。

あれから祟りとかそういうのは特に感じなかったので、なかったんだと思う。

叔母たちによると特に祖母の思い入れがあった品ではなかっただろうという結論。
また、他の親戚の家で同様のことは何もなかったそうである。

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