幻の酒

420 :本当にあった怖い名無し[sage]:2009/03/27(金) 12:20:43 ID:9caSwX3y0
もう良い歳したおっさんだから過去の事。
特に霊的でもオカルトでもないけど不思議だった話。

高校時代は酒も煙草もしなかった真面目学生だった。
けど、友達と何故かノリで「酒でも飲んでみようぜ!」と言う流れになって、
自分のお金でちゃんとした居酒屋に友人Aと私服で飲みに行った。

初めての居酒屋とお酒で緊張したが特に店員さんにもバレずに
美味しい焼き鳥やビールなんかを頼みまくっていた。
ある程度飲むうちに「ビールやカクテルも飽きたなぁ」と、
どちらともなく日本酒か焼酎を頼み始めた。
最初のうちは「うわぁ~苦い」って感じだったのだけれど、
ある程度酔いが回ってきたのかいきなりスーっと清涼飲料水のようにお酒が美味しくなった。
「アレ?これめちゃくちゃ美味いぞ!」と半ばビックリしつつ自分のお酒だけかもと思い、
友人のお酒もひったくって飲んでみたがこれも凄まじく美味しい。
なんと言うかお酒の臭みとかがまるでなくて、
キンキンに冷えた水が舌と体中に行き渡って自分が海で泳いでるかのようだった。
友人も「美味い!美味い!何だこれ!」と驚いていた。

20歳過ぎてから当然のごとく酒好きになって色々と飲むようになったのだけれど、
この高校時代に飲んだ冷えた水のようなお酒が一番美味しかった。

後々になって読んだ中島らもの「今夜全てのバーで」だっけ?
あれの途中で夢に出てくる友人が飲む幻の酒の表現がまさにコレだった。

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