- 山仕事をしている友達K
大学の同級生だったKとは、卒業後も付き合いがありよく遊んでいました
上京してきた彼は、卒業後は一般企業に就職し、3年で退職して家業を継ぐことになり実家に帰りました
彼が実家に帰った数年後、その実家に遊びに行き、家の所有する山の山小屋でキャンプすることになりました
その山は、町から車で60分ぐらいの場所にあり、周囲には民家一つない本当の山奥の山小屋でした
当然電気も水道も無く、水はタンクで手持ちし、ランプや焚き火で灯りを用意するような場所です
山小屋へは私とKともう一人友人Nの三人で行き、昼間は沢で魚を捕ったり山肌を登ってみたりして遊んでいました
夜は少しお酒を飲み、翌朝車で下山する予定でした
その日は生憎の曇り空で、星を楽しみにしていた都会っ子の私は少しふて腐れて早めに山小屋に入り、寝袋で休むことにしました
気がつくと0時になっており、周りをライトで照らすと、二人も寝袋で寝息を立てていました。
私が小便に外に出て、戻る時にそれは起きました
山の奥の方から太鼓のような音が「ドンドコドンドコドンドンドン」「ドンドコドンドコドンドンドン」
と聞こえて来たのです
私は聞き間違いと思って小屋に戻り寝袋に入りました
しかし、いつまで経っても音は止まず、しかも段々と音は大きく近づいてきているようでした
- その内、Nがむくりと起きて、山小屋から出て、すぐに戻ってきました(彼も小便のようで、大きな放屁が響きました)
Nも寝袋に入りましたが、いつまでも寝息は聞こえず、起きているかのようでした
そして3時頃だと思います。その頃には太鼓の音はお腹に響くぐらいの大きな音で、私はあまりの不気味さに耳を塞いで丸まっていました
すると、Kがバッと立ち上がり、山小屋からいそいそと出て行きました
急に太鼓の音は止み、代わりにKの怒鳴る声が聞こえてきました
「そうもさん!」「ぎゃあてい!」
とか聞こえましたが、その後私は気がつくと眠っており、目覚めると朝でした
私はNに昨夜の事を聞くと、やはり太鼓の音は聞こえていたそうですが、Kの事は気付かなかったとのことです
次にKに尋ねると、彼は笑いながら「昨夜小便しに外に出たらスズメバチに刺された」
とだけ言って彼は頭の傷を見せました(かなり腫れて痛そうでした)
その後は車で下山し、病院に寄ってから解散となりました
後日Kに再会したとき、なんとなしにもう一度山小屋に行きたいと言うと、
「今度は何もないようにするな!」
と笑って答えて、私は少し彼が怖くなりました