記憶の中のお兄ちゃん

883 本当にあった怖い名無し [sage] 2012/10/10(水) 22:38:21.37 ID:OaqzpHvi0 Be:
2歳ころの記憶。
そのころ家は貧乏だったそうで、古いアパートに住んでいた。
遠くには単線の駅があり、そこからカンカンと踏切の音が良くしていた。
ある日曜日の昼、いつものようにアパートの下で砂遊びをしていた。
同じアパートに住むお姉ちゃんと、自分の母とお姉ちゃんの母親が立ち話をしてた。
座り込んで遊んでいてふと顔をあげると、目の前に小学生くらいの男の子が二人いた。
彼らからは、おしろいのような胸を締め付けられるようないい匂いがした。
一人のお兄ちゃんに手をつかまれ、手をひっぱられて走り出した。
後ろを振り向くと母が見えたが、あまりに早く走るのであっという間にアパートすら見えなくなっていた。
お兄ちゃん達は、フェンスを越えて線路に入ると私を伴って歩き出した。
空気が熱くて、遠くが蜃気楼のようにゆれている。
線路の焼けた石の色や、枕木の独特な油っぽい匂いもしっかりと記憶にある。

なんだか楽しくてきゃっきゃと歩いていたが、足がうまく動かないので
ふらふらと歩いた。やがて、線路は終り、鉄のレールが大きく曲がっていた。
そこまで来るとお兄ちゃんたちは、また私の手を握った。
すると風の音がして目に砂が入り、ぎゅっとつむった。痛くて泣いていると、母が慌てて私を抱き上げた。
いつの間にか、私はアパートに戻ってきていた。
それから度々、この小学生のおにいちゃんは現われて私と線路に入って遊んだ。

884 本当にあった怖い名無し [sage] 2012/10/10(水) 22:39:53.33 ID:OaqzpHvi0 Be:
続き

5歳になると、私たちは別の市に家を買って移り住んだ。
そこは線路も駅も見えなかった。
新しい家では、床の間があったがそこがなぜか好きで、一人で座っていると
気づくとあのおにいちゃんが立っていた。昔よりも成長していて
高校生のように見えた。私は、床の間でお兄ちゃんと遊ぶようになった。
髪をすいてくれたり、膝に乗せて抱きsめてくれたりしてくれた。
やはりいい匂いがしていた。
床の間に張り付いてる私を、母は気味悪がったがやがてその床の間に仏壇か置かれると
そのお兄ちゃんは現われなくなった。

今でもあのおしろいのようないい匂いが鼻をかすめると、胸が苦しくなる。
あの人はだれだったんだろう

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