- 359 :本当にあった怖い名無し[sage] :2008/08/20(水) 16:18:38 ID:/J+/o+AV0
- 小学5年のころ、隣のクラスに関西から転校生S君がきた。
あるとき昼休みに、体育館の片隅でS君がクラスの野球部数名に
小突かれたりしてイジメられているのを発見した。
俺は当時、身体が学年でいちばんでかく、空手もやっていたので
「おまえら何やってんだ、やめろばかやろー」みたく割って入った。
野球部の連中は「遊んでるだけだよ~邪魔すんなよ~」と言ったが
なんだか無性にムカついて、蹴りを食らわせてやった。
すると野球部の連中はS君を置いて逃げていった。
そんでS君とちょっとだけ会話をして、そのときは終わった。
数週間後、帰宅時にうちの近所でS君とばったり会った。
「こないだはありがとう。俺、転校してきてからとにかく
イジメられんねんけど、こないだ助けてくれたおかげで、
あれからはただ無視されるだけになってん。
俺としてはそっちのほうがええから、ほんま助かった。
うちのマンションすぐそこやから、寄ってってや」
みたいなことを言われて、マンションへ上げてもらった。
上がるとお母さんが、「あんた友達できたの、よかったわ~」
なんて喜んで、俺にいろいろ話しかけてきた。
結局それがきっかけでお互いの家を行き来するようになり、
よく遊ぶようになった。6年になっても変わらなかった。
釣りを教わったり、チャリで遠出したり、楽しかった。 - 360 :本当にあった怖い名無し[sage] :2008/08/20(水) 16:21:13 ID:/J+/o+AV0
- 6年の夏休み少し前に、S君から「また転校するんやけど」と言われた。
お父さんが金融の仕事してるんで転勤が多いらしい。
がっくりしたけど、夏休みに最後、また釣りに行くことに決めた。
釣りの日の数日前、S君が晩飯時に突然、我が家に来た。
「実は、釣りの日に離れることになってしまって、
だから挨拶に来たんよ。釣り行けなくてごめんな」と。
わざわざ、プレゼントまでもってきてくれた。
会うのはそれが最後になってしまった。
釣りはちゃんと準備してたから、当日は俺1人で遠出して行った。
でも1人でやっててもなんだかつまらなくて、
「今ごろ、新幹線乗ってるのか」なんて考えてた。
腹減ってきて持参のおにぎり食べてるときに
ふと気づくと、横におじさんがしゃがんでいる。
目が合うと、「ほんまありがとな」と言われた。ボソっと。
俺はもちろん、誰だこの人?と思って躊躇した。
次の瞬間に強い日差しがバーっと正面から来たので、
俺は手で顔を覆った。ふと目を戻すとおじさんはいなかった。
見渡してもおじさんはいなかった。誰もいなかった。
走ってそのへんを見たんだけど、俺しかいなかった。
家に帰ってそのことを話すと、父に
「1人で釣りなんか行くからだ。へんなヤツ多いんだよ最近」
とか言われて、1人釣り禁止になってしまった。
それまではS君としか釣りには行ってなかったので、
以降、釣りは一切やらなくなってしまった。
ただ、とても不思議な時間帯に感じたので(わずか数秒だけど)
そのおっさんの顔はちゃんと覚えていた。 - 361 :本当にあった怖い名無し[sage] :2008/08/20(水) 16:22:44 ID:/J+/o+AV0
- それから20年後。去年のこと。
某サイトで、会員制の同窓会サイトがあることを初めて知った。
登録して見てたら、S君が「1年ほどしかいなかったけど
僕のことを覚えている方いらっしゃいますか」
みたいな感じで堂々と掲載していた。驚いた。
それで俺からコンタクトを取ってみると、すんなり返信がきた。
お互いにとても喜び、たまにメールでやりとりするようになった。
S君、自分で会社を立ち上げ、頑張っているそうでなにより。
ある日、うちの地元のお祭りがあり、写真を撮った。
それをS君にメール添付で送ってあげた。
(俺は母と同行したもんで、祭りをバックで2人を撮った写真)
数日後、S君から返信が来た。写真添付あり。
妻子と、だいぶ禿げ上がったS君。相変わらず眼鏡。
文章には、「柴ちゃん(俺)はまだ若いね。うらやましい。
俺は遺伝が早くも来ました、若禿げです。驚きでしょ?
苦労も多いので、これからどんどん進行するでしょう」と。
俺は「いやー、キテるねー」なんて思って笑いながら見てたんだけど、
「あ!あのおっさんに似てる」と思った。あのおっさんも眼鏡だった。
それで何とも言えない気持ちなり、S君に当時のことをメールした。 - 362 :本当にあった怖い名無し[sage] :2008/08/20(水) 16:24:38 ID:/J+/o+AV0
- どういう返事が来るかと待っていたんだけど。ちゃんと来た。
「最後、釣りに行けなかったのは覚えてます。
あれからうちの父が出世して転勤がなくなったので、
あれが最後の転校だったから、ちゃんと覚えてる。
離れるときに新幹線の中で泣きっぱなしでした。
柴ちゃんが見たおっさんは、なんだろうね。
会社を立ち上げるときに著名な人に相談したんです。
霊視もできる人だそうで、起業支援者に誘われて行ってみたら、
『あなたのことを、あなたにそっくりなひいおじいさんが
日々守ってくれています。生まれたときからです。
だから墓参りなどはちゃんとしてあげてください』
みたいなことを言われたんだけど。そのひいじいさんかな?
柴ちゃんは俺のこと守ってくれたから感謝したのかもね。
ちなみに小さいころに風呂場でそれらしき人を
俺が見たことがあるらしく(俺は覚えてない)
うちで話題になったって聞いた」と。
そんなこんなで、俺が川で会ったのは
たぶんそのひいおじいさんかとは思うんだけど。
霊体は水がある付近でよく出るというのを聞くけど、
そういうことなんでしょうか。
ありえない場所、もう会えない人、今ではない時間、 幼い頃の不思議な記憶、 見えるはずのないもの。 そんな、怖くはなくても奇妙な経験を書き込むスレッド、 「不可解な体験、謎な話~enigma~」のエピソード置き場です。