- 137 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・投稿日:03/11/10 11:06
- 仕事が終わってアパートに帰ってみると、居間の壁から毛が生えていた。
床から2mくらいの高さの壁面、掛け時計の横に黒い毛の束。
真ん中にはつむじのようなものがあって、まるでカツラを貼り付けたように見える。
定規でかき分けてみると、毛はやはり壁から生えているようだった。
軽く引っ張ってみたが、抜ける気配はない。とりあえずシャワーを浴びるため浴室へ。
居間に戻ると、さっきより毛の束が盛り上がっているように見えた。
近づいてみると、毛の根元に頭皮が確認できた。僅かに生え際のようなものも見える。
どうやら、壁から頭が生えてきているようだ。
テレビでも見て気を紛らわそうと思ったが、やはり気になってしょうがない。
やがて、額から眉毛、目、耳、鼻が壁を抜けて姿を見せはじめた。
顔の上半分の風貌からは30~40代の男という印象を受ける。
と、そこで一つの疑問が浮かんだ。
壁を挟んだ隣の部屋はどうなっているのだろう?隣人は確か学生っぽい男だ。
早速隣のドアを叩いた。返事はない。どうやら留守のようだ。
部屋に戻ってテレビを見ながらビールを飲んだ。壁からは男が生え続けている。
寝る頃には腰の辺りまで見えていた。床と水平の角度を保ち、壁から突きだしている。
身動き一つしないので、剥製のように見えた。そういえば、ここまでのところ裸だ。
これから先の光景は、予想するだにあまり愉快なものではなさそうなので、
キッチンで寝ることにした。布団にもぐりこんでも、気になってなかなか眠れなかった。
夜中に一度だけ引き戸を開けて覗いてみると、全裸の男が直立不動で空中に浮かんでいた。
朝になって居間へ入ると、反対側の壁から男の下半身だけが生えていた。
なぜか、完全勃起したチンコが壁に引っかかって斜め後ろを向いていた。
それが気になって見守るうちに、チンコはどんどん水平に近づいたかと思うと、
突然、ぷるんっという風にスイングして壁を突き抜けた。
妙におかしかったのだが、ずっと見守っていたせいで会社に遅刻してしまった。
ありえない場所、もう会えない人、今ではない時間、 幼い頃の不思議な記憶、 見えるはずのないもの。 そんな、怖くはなくても奇妙な経験を書き込むスレッド、 「不可解な体験、謎な話~enigma~」のエピソード置き場です。