- 594 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・投稿日:03/06/27 17:38
- 小学生のころ、私はよく祖父母の家に遊びに行っていた。
家の近所には貯水槽があった。
安全のため鉄格子で蓋をしてあり、その上からさらに金網をかぶせてある。
鉄格子も金網も赤茶色く錆びていて、
溜まっている水も暗く濁っており、縁には藻類が繁茂している。
背後にはすぐ雑木林が茂っていて、薄暗い場所だ。
今思い出しても気味の悪い場所であった。
だが、当時の私はかぶせてある金網に乗って
トランポリンのように飛び跳ねて遊んだりしていた。
ある日、ふと水の中を見ると、ぼんやりと白くて長いものが見えた。
不思議に思い、目を凝らすとそれは人間の腕のように思えた。
色は真っ白。肩から先のみで、肘の関節が45度くらい曲がっている。
そして先端には菱形のシルエットがうかがえた。
ここまでだと普通かもしれないが、
水の中のそれは一際異彩を放つ特徴を持っていた。
物凄く長いのだ。
腕だけで当時の私の身の丈ほどもあろうかという長さだ。
そしてゆらゆらと揺れている。
私は棒切れを手にとり、金網の隙間からそれをつついてみた。
軽い。まるで手ごたえがないようだった。
しかし型崩れすることもなく、やはり動きは腕のようであった。
腕が現れたのはその日一日のみだった。
ありえない場所、もう会えない人、今ではない時間、 幼い頃の不思議な記憶、 見えるはずのないもの。 そんな、怖くはなくても奇妙な経験を書き込むスレッド、 「不可解な体験、謎な話~enigma~」のエピソード置き場です。